2010年11・12月 近江の仁王像に着目!2

 12月1日ふつかめ。この日は神戸現場でした。

 朝一、京都でお墓参りを済ませ、高速で神戸まで飛びます。現場に13時半入りなのであまり時間がありません。
 なので現場から近くて、確実に仁王門があって、そこそこ有名なお寺をピンポイントで攻めることにしました。そこで選んだのが本堂が国宝に指定されているという名刹・三身山 太山寺です。

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 太山寺は鎌倉時代から室町時代にかけて栄えた天台宗のお寺で、重文の仁王門も室町時代の頃に別の場所から移築されてきたそうです
。仁王像は鎌倉後期の作ではないかと言われています。確かに鎌倉時代らしい写実的な力強い作風です。
 吽形の玉眼が無くなってしまっているのは残念です。


 紅葉がとても綺麗で観光客もたくさんでした。


 この日はこのひと寺で終了の予定でしたが、現場のすぐ近くに兵庫大仏なるものがあるのを知り、10分間だけ寄っていくことにしました。

 この大仏さんは奈良・鎌倉とならび日本三大大仏と呼ばれているそうです。まあこういうのは世界三大美女の3人目が各国で主張が違うように、「言ったもん勝ち」のシステムです。

 像高は11m、階段・台座を含めると18mと静岡のガンダム級の大きさです。この像は平成3年に開眼された2代目だそうで、仏師・西松公朝さんが監修されたそうです。さすがにお顔立ちがいいですね。


 12月2日みっかめ。実家に戻り再び近江の古寺を回る旅です。
 調べると湖東三山という名刹三寺院があることがわかり、その三つを回ってみることにしました。

 近江・滋賀県といえば天台宗の総本山、比叡山 延暦寺があります。したがって古寺は天台宗率が非常に高いです。湖東三山も全て天台宗寺院です。ちなみに入山料として500円かかります。


 南から攻めます。まずひとつめは釈迦山 百済寺。聖徳太子が創建したといわれるとっても古いお寺です。こちらには仁王さんがいました。

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 こちらの仁王さんの特徴は太い腰に巻いた綱でしょう。この綱は見たところ綿を詰めた布製で、像に後から巻いたようです。また、体の表面も像の傷みを和らげるためか全体に布が貼られ、今ではそれがかなり剥がれてしまっているので、なんだか「脱皮している」みたいです。
 ぼくはここの仁王さんを「脱皮横綱仁王」と呼びたいと思います。


 仁王門に吊り下げられた大草鞋は当時百寺巡礼をされていた五木寛之さんが腰掛け、無事に百寺満願されたとかで有名だそうです。柱の貼り紙にもやたらと五木寛之氏をアピールしていました。


 ピークは過ぎたとはいえ紅葉がきれいでした。近畿五大紅葉名所のひとつだそうです。ま、これも言ったもん勝ちシステムですね(笑)

 本堂では本尊脇侍の如意輪観音像と聖観音像が特別公開中でした。また湖東三山のみのマニアックな本が販売されていたので買いました。


 ふたつめは湖東三山まん中のお寺、松峰山 金剛輪寺。
 天平13年(741)、聖武天皇の勅願で行基によって開山されたというこれまた古いお寺です。行基自らが彫ったとされる本尊の聖観音菩薩像は彫ってる途中で木肌から一筋の血が流れ出し、粗彫りのまま「生身の観音さま」として奉られています。
 平安時代には慈覚大師が来山し、以降天台宗の道場として繁栄しました。

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 おもしろいのはこちらの山門は仁王門ならぬ二天門で阿吽の増長天・持国天がお寺を警備しています。


 国宝の本堂内陣には秘仏の本尊聖観音像の他、脇侍の毘沙門天・不動明王、阿弥陀さまに四天王と国の重文がずらり。また、特別拝観として甲冑をつけた古式の大黒天(この形としては日本最古だそう)が公開されていました。


 3日目の締めくくりは龍癒山 西明寺。
 834年に三修上人によって開かれた寺院です。天台宗の隆盛期にはかなりの大寺院だったようですが、織田信長によって焼き討ちにあっています。安土もすぐ近くですからね。

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 こちらもお寺を守護するのは二天門の増長天・持国天です。でも手には仁王さんの持物である金剛杵がしっかり握られています。借りてきたのでしょうか?

 鎌倉時代に建てられた本堂・三重塔は重要文化財の指定がされています。

 日本の天台宗の祖・最澄さんの像もありました。

 湖東三山はそれぞれが近いので移動には時間がかからないのですが、なにせ入山に500円払っているので元を取ろうと境内をゆっくり見て回るのと、それに加え国宝・重文が目白押しなのでひとつひとつに時間を要し、気がつけば4時近くになりました。
 ここは欲張らずに3日目の見仏を終えます。

 そして安土・彦根近辺を攻める4日目へ続きます。織田信長の支配下にあった町です。


近江の仁王4日目へ


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